第41話   竿 の 好 み   平成15年9月29日  

自分は竹の延べ竿始まり、黒鯛を釣るに3間半まではヘラ竿、4間を超える大物釣用には長い鮎竿を改造して使っていた。リール付きの外ガイドやインナーも持ってはいるが殆んどは使っては居ない。

最近は、体力的なこともあるが軽いハエ竿の振り出しを使用している。ハエ竿と云っても長尺もので4間を超えるものもある。ただ、最近の関東のメーカーから売り出されているハエ竿は、短尺物が主流なので、すべて関西からの取り寄せとなる。遊ぶ竿としては大変面白いが、馴れない人にとっては肉薄で直ぐに折ってしまう事が多い。軽い=肉薄なのである。竿が細く中通しの改造は中々難しい。欠点は振り出し竿の中の遊びが少ないので道糸が擦れる。だから袴を付けるとか、何か一工夫がいる。

関西ではこのハエ竿を外通しにして使っているようだが、外ガイドに道糸が絡まないので自分は馴れた中通しの方が何かと使い良い。関西は岸和田でお馴染みのヘチ釣の中村正秋氏は、昔から改造外ガイドのハエ竿を使用しておられる。肉薄の極軟調のハエ竿を使い大型の黒鯛でもいとも簡単に上げているのである。竿の限界を知った上で、魚の修正を良く知り尚且つ魚に空気を吸わせ弱らせる術を知っておられる方であるから出来るのである。かかった後の魚のあしらいは芸術的である。6月は入れ食いの時期だからと一度ご招待を受けたが、遠いのでやめた事がある。

竿の違いで魚の釣り方が違ってくる。ハエ竿を使い大型の黒鯛が来たのに、思いっきりためれば竿が折れるのは当たり前である。比較的肉厚のヘラ竿だって折れてしまう事がある。今まで使っていた釣竿と同じように使っている釣り人が良くいる。竿が違えば釣り方も異なる事を知らないのだ。東京のあるHPを見ていると店員が別のにしたらと云うのに調子が良さそうだからとハエ竿の外通しを買っては見たが、フッコがかかって直ぐに折れてしまったと云うのがあった。竿の限界も知らずに使えば必ずそうなる。同じ竿を使っても黒鯛の50cmオーバーを釣ってもいとも簡単に上げる人も居る。自分の好きな調子の竿を買ってしまったら其れを使いこなす事が大事だ。其れもしないであの竿は良いとか悪いとは云えない。欠陥品は別だが、一度買ってしまえば其の竿は愛竿の一つとして大事に使わねば竿に対して申し訳がないと思う。

最近の竿は、魚種別に色々と種類があり過ぎる。其の中で自分に合うと思われる竿を探すのは中々困難である。名人が使っているからとか知り合いの釣り人が買ったからではなく、自分に合うと思われる竿を買ったらとことん使いこなす事が釣師としての勤めと思う。それは身体、体調、好みに合わせ人それぞれ色々な釣り方があっても良いと思うからである。